このつまらない世界に終止符を

旧:引きこもり女子の上京ブログ。つまらない人生から脱却すべく、面白いことを見つけては一生懸命にやるブログ。死んだ目をしたすべての人に…

もしも、うさぎくんが死ぬコトになっても【創作物語】

「もしも、うさぎくんが死ぬコトになっても、僕はきっと悲しまないよ」

 

くまくんはそう言ってコーヒーを飲みました。
口の中で広がる苦味はコーヒーのせいなのか、吐いたセリフのせいなのか・・・

今のくまくんには到底分かり得ないことでした。

 

「それでもいい。僕は悲しみを求めていない」

そう言ったのはうさぎくんの方でした。

うさぎくんはただ、この世界とお別れしたいだけなのです。

 

 

「君はワガママだ。そして愚か者だ。生きるということを分かっていない。」

静かに重くそう言ったまま、くまくんは口を閉ざしてしまいました。


うさぎくんは呆れたような困ったような顔をして
「生きるということが分かる者がいるとしたら、それは神に違いない」
そう言うと、彼もまた口を閉ざしてしまいました。

 

どれくらいの時間が流れたでしょうか。
長いようで短いようにも思える沈黙でした。

 

それを壊したのは、他でもない
石焼き芋でした。

 

 

「石焼〜き芋〜〜!焼き芋!美味しい美味しい焼き芋〜〜」

聞こえてくる焼き芋車の声。

 

 

「芋か・・・」


おそらくは同時に、あるいはどちらかがつられて、二人はそう呟いていました。

 

そして思わず顔を見合わせ、照れ笑いが生まれました。
それはまるで石焼き芋の魔法のようでした。

 

何か諦めたように、うさぎくんは言いました。
「今日は芋が食べたい。死ぬことを考えるのはまた明日にするさ。
どうやら迷惑をかけたようだし、君の分も買ってこよう」

 

それを聞いたくまくんは
「コーヒーと芋が合えばいいけれど」
そう言っておどけて見せるのでした。

 

 

 

 

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